楽しみにしていた世界遺産の街。ようやくたどり着いたホテルのベッドで、旅の疲れを流すように眠りに落ちた——その数時間後の話です。
まだ外は真っ暗でした。午前5時。突然、窓の外で破裂音が連続で鳴り響いたんです。ダン、ダダン、ダン。反射的にベッドから身を起こしていました。銃撃だ、と本気で思いました。石造りの部屋の壁が、かすかに震えている気がしたほどです。あとで宿の人に聞いたら、聖人のお祭りの花火だと笑われました。この街では、それが日常なのだと。
はじめまして。元旅行代理店勤務で、これまで世界中のホテルを数多く渡り歩いてきたホテルブロガーです。恥ずかしい話、私はかつて「安ければ正義」「口コミ★4.0以上なら大丈夫」と信じて、数えきれないほどハズレの宿を引いてきました。その私が、今日は自分の失敗を全部さらけ出しながら、サン・ミゲル・デ・アジェンデのホテル選びをお話しします。
結論から言いますね。この街のホテル選びは、「星の数」でも「眺望写真の可愛さ」でもなく、たった4つの軸で決まります。そしてその軸を知らずに「世界遺産の中心に泊まれば全部歩けて完璧でしょ」と考えている人は、私と同じように午前5時の花火で飛び起き、標高1,900メートルの石畳の坂に体力を奪われ、暖房のない部屋で震えることになります。
大丈夫です。この記事を読み終えるころには、あなたは「エリア名」ではなく「自分の優先順位」でホテルを選べるようになり、予約ボタンを自信を持って押せるようになっています。私の失敗を、どうか踏み台にしてください。
結論:サン・ミゲルのホテルは「エリア名」ではなく「4つの軸」で選ぶ
いきなり核心をお伝えします。サン・ミゲル・デ・アジェンデのホテル選びで後悔しないための判断軸は、次の4つです。
- 軸①:教会からの距離=夜の騒音(早朝の花火と真夜中の鐘の直撃を受けるか)
- 軸②:夜、歩いて帰れる距離か(治安・帰路の明るさ・坂と石畳の負担)
- 軸③:季節の備え=暖房(標高1,920メートルの寒暖差に対応できる部屋か)
- 軸④:空港送迎の事前手配(直通交通ゼロの街へ、確実にたどり着けるか)
なぜエリア名で選んではいけないのか。理由はシンプルで、同じ「セントロ(歴史地区)」の中でも、教会の正面か一本奥かで睡眠環境がまるで別物になるからです。「セントロは便利」「丘の上は絶景」という大雑把な括りは、あなたの旅の快適さをまったく保証してくれません。
私はいつも言っているんです。「ホテル選びは、泊まる前の30分で決まるんです」と。その30分で見るべきなのが、この4つの軸なんですね。まずは結論として、街歩き中心の方への私の答えを先に置いておきます。徒歩圏で静かなサン・アントニオか、セントロの「教会から一本奥・中庭側」の部屋。これが、もっとも後悔しにくい選び方です。
なぜ「中心に泊まれば完璧」が罠なのか
多くの方が「世界遺産の中心に泊まれば、あとは全部歩けて完璧」と考えています。私も昔はそう思っていました。でも、本当のストレスの原因は距離ではないんです。
この街は標高1,920メートル。道はほぼ全面が石畳(エンペドラード)で、しかも高低差が激しい急坂だらけです。地図では中心部でも、眺望自慢の宿ほど坂のてっぺんにあります。つまり敵は「距離」ではなく、「標高の高い場所で、ガタガタの石畳の急坂を、荷物を持って何度も往復すること」。距離ではなく『坂と石畳の摩擦』こそが、あなたの体力を奪う真犯人なんです。
この前提を頭に入れたうえで、4つの軸を一つずつ、私の失敗談とともに見ていきましょう。
まず空港から:レオン空港(BJX)から1.5時間・直通ゼロという誤算
ホテルの話の前に、どうしても先にお伝えしたいことがあります。それは「サン・ミゲルには、空港から街への直通交通が一つもない」という現実です。ここでつまずくと、初日から旅のリズムが崩れます。
玄関口になる空港は主に3つ。レオン空港(BJX)が車で約1.5時間、ケレタロ空港(QRO)が約1.2〜1.4時間、そしてメキシコシティ(CDMX)からは陸路で3.5〜4時間。この3つのどこからも、サン・ミゲルへ直通する鉄道もバスもありません。だからこそ、送迎の事前手配が命綱になります。
私自身、痛い目を見ました。到着ロビーを出て、バス乗り場を探しても、サン・ミゲル行きの直通便はどこにもない。頼んだはずの送迎ドライバーの姿もない。電話をかけても出ない。代わりに「タクシー?タクシー?」と客引きが数人、こちらへ近づいてきました。
時刻は夜10時。心細さで手のひらに汗がにじみました。あとで分かったのですが、空港の客引きの多くは無資格のドライバーなんです。事前に正規の送迎を押さえておけば、あの心細い10分はなかったはずでした。
- 評判の確認できる送迎、またはホテル手配の送迎を到着前に予約する
- ドライバー名・車種・連絡先を控えておく
- 空港の客引き(無資格ドライバー)には乗らない
- 深夜・早朝着は周辺の車が少なく特に詰まる。できるだけ明るい時間帯の便に寄せる

空港からタクシー拾えば楽勝っしょ! ウーバー(Uber)で安く行きゃいいじゃないっすか。



その油断が一番危ないんです。サン・ミゲルはレオン空港から1.5時間、直通のバスも電車もありません。実際に多いのが、頼んだ送迎が現れないノーショーと、客引きの無資格ドライバー。到着前に評判の確認できる送迎かホテル手配を予約して、ドライバー名と車種を控えておく。これが基本です。深夜早朝着は特に、周辺の車が少なくて詰みますよ。
午前5時の花火と真夜中の鐘——「教会からの距離」が睡眠を決める
さて、ここからが軸①、この街最大の落とし穴です。結論を言えば、サン・ミゲルのホテル選びで最も重要な1点は「教会からの距離=夜の騒音」です。
理由はこうです。この街は聖人のお祭りが異常に多く、それを祝う花火(コエテス/cohetes)が、早朝5時、6時に連続で打ち上がります。祝砲というより、銃声かダイナマイトの爆発音。石造りの部屋でも振動が伝わって飛び起きます。しかも困ったことに、市は時間帯も音量も規制していません。「うるさいから止めてくれ」が通じない世界なんです。
花火だけではありません。教会の鐘が、聖人ごとにバラバラのタイミングで真夜中も鳴り続けます。私が体験した夜のことです。真夜中の1時過ぎ、どこかの教会の鐘が鳴り始めました。ようやくまどろんだ頃、今度は別の方角の鐘が、まったく違うリズムで応じたんです。
同期していない。規則性もつかめない。翌朝そのことを話すと、この街に20年住む宿主が肩をすくめて言いました。「私も、鐘の規則を理解するのに15年かかったよ」と。住人ですらそうなんですから、旅行者に読めるわけがないんですね。
ここで大事なのは、セントロ(歴史地区)の教会至近・ハルディン(中央広場)ビューの部屋は、まさにその音源の正面だということ。昼間の眺めは最高でも、夜は花火と鐘の直撃を最も受けます。眺望を取るか、眠りを取るか。これはトレードオフなんです。
- 予約時に「中庭側(インテリオール/interior)」の部屋を指定する
- 「二重窓」の有無を確認する
- 「広場から一本奥」の宿を選ぶ
- 耳栓は必携。眠りを最優先するなら、いっそサン・アントニオを選ぶ



ピンクの教会が目の前の激安宿、見つけたっす! 中心部だし映えるし最高っしょ!



気持ちはわかりますが、その部屋はまさに音源の正面です。花火は早朝5時6時に炸裂して、銃声と間違えるレベル。鐘も聖人ごとに非同期で真夜中に鳴ります。眺望を取るか眠りを取るかで、予約時に「中庭側」「二重窓」「広場から一本奥」を指定してください。眠りを優先するなら、サン・アントニオの方が安心ですよ。耳栓は必携です。
予約サイトで「静かな部屋」を引き当てる具体手順(実演:Hotels.com)
では、その「中庭側の静かな部屋」を、どうやって予約サイトで引き当てるのか。ここでは掲載数が豊富で絞り込みがわかりやすい Hotels.com を例に、実際の操作手順を追ってみましょう。(画面の名称やリワード内容は変更されることがあるので、最新の表示もあわせて確認してくださいね。)
Hotels.com のトップページの検索窓に「サン・ミゲル・デ・アジェンデ」と入力します。続けてチェックイン・チェックアウトの日付、宿泊人数を選んで「検索」を押します。ここで日程を入れておくと、次の絞り込みで実際の空室と料金が反映されます。
検索結果ページの「絞り込み」から、地区・エリア(セントロ、サン・アントニオなど)、料金帯、ゲスト評価、そして「無料キャンセル」を指定します。日程が変わりやすい海外旅行では、まず無料キャンセルで絞っておくと安心です。
気になる宿のクチコミ欄を開き、”noise(騒音)” “fireworks(花火)” “bells(鐘)” といったキーワードが出ていないかを確認します。さらに客室写真で、窓が広場向きか中庭向きかをチェック。ここが今回の一番のキモです。眺望自慢の写真ほど、音源の正面である可能性を疑ってください。
中庭側・二重窓の条件に合う部屋タイプを選びます。Hotels.com リワードの会員やアプリでログインしていると、対象施設では会員価格(メンバー価格)が表示されることがあります。予約前に、料金の内訳(税・サービス料)とキャンセルポリシーを必ず確認しましょう。
内容を確認したら「予約する」で確定します。Hotels.com には「10泊ためると1泊分のボーナスステイ」というリワードプログラムがあり、対象予約を積み重ねると1泊分の特典に交換できます(クーポン利用やパッケージ予約は対象外のことがあります)。予約確認メールは必ず保存しておいてください。私は昔、この確認を怠って二重予約し、キャンセル料を3万円も取られたことがあります……。
操作自体はどのサイトも似ていますが、ポイントは「エリアで絞り、クチコミで騒音を確認し、写真で部屋の向きを見る」という順番です。この3ステップだけで、花火の直撃部屋を引く確率はぐっと下がります。
大天使祭・セマナサンタ——宿が消え、価格が2〜3倍になる会期
次にお伝えしたいのは、日程の罠です。結論はこう。旅程を決める前に、まずお祭りのカレンダーを確認してください。これを怠ると、「静かに過ごしたかったのに祭りの直撃」あるいは「宿が全滅していて泊まれない」という定番の失敗が待っています。
特に警戒すべきは、街の守護聖人を祝うサン・ミゲル大天使祭。9月末に約10日間、深夜1時台まで花火・鐘・パレードが連夜続きます。この時期、宿は数か月前に満室になり、料金は通常の2〜3倍。ほかにも、セマナサンタ(春の聖週間)、独立記念日(9月15〜16日)、死者の日(11月初旬)も同様の混雑と高騰が起こります。
実は私も、何も知らずに9月末にふらりと訪れて痛い目を見た一人です。「世界一美しい街で静かに街歩きでもするか」と軽い気持ちで来たら、どの宿も満室。ようやく見つけた1軒も、残っていたのは通常の3倍の料金の部屋だけ。予約確認メールを開きながら、電卓を叩く手が止まりました。あの時、会期さえ調べていれば、と今でも思います。
だからこそ、お祭りは二方向で考えるべきなんです。参加して楽しみたいなら数か月前に予約必須。静けさが目的なら、この期間はあえて外す。どちらを選ぶかを、旅程を組む一番最初に決めてください。
▼ 主な混雑・高騰シーズン(クリックで展開)
- サン・ミゲル大天使祭:9月末・約10日間。深夜まで花火とパレード。宿は数か月前に満室、料金2〜3倍
- セマナサンタ(聖週間):春。国内旅行者が集中
- 独立記念日:9月15〜16日
- 死者の日:11月初旬



9月末に静かな街歩きをしたくて来たんですが、どのホテルも満室で……。どうしてこんなに混んでいるんでしょうか?



9月末は、街の守護聖人を祝う大天使祭なんです。約10日間、深夜1時まで花火が続き、宿は数か月前に満室・料金は2〜3倍になります。参加が目的なら早期予約必須ですが、静けさが目的ならこの時期は外すのが鉄則。旅程を決める前に、まず会期を確認してくださいね。
標高1,920メートルの寒暖差と「暖房なしホテル」の夜
軸③は、季節の備えです。結論から言うと、冬にサン・ミゲルへ行くなら、予約時に「暖房の有無」と「24時間フロント対応か」を必ず確認してください。「メキシコ=暖かい」という思い込みが、震える夜を連れてきます。
この街は標高1,920メートルの高原にあります。1日の寒暖差は10〜15度、1〜2月の夜は4〜7度まで下がります。しかも中庭を囲む石造りのコロニアル建築は、日中に蓄えた熱が夜に抜けて、石壁からじわじわ冷えてくるんです。暖房(カレファクシオン/calefacción)の設備がない宿も少なくありません。
忘れられない夜があります。昼間は半袖で石畳を歩いていました。ところが夜、部屋に戻って毛布にくるまっても、石壁から冷気が染み出してくるようでした。スマートフォンで気温を見たら5度。暖房のスイッチは、どこにもありません。毛布を一枚もらおうとフロントに降りたら、そこには誰もいませんでした。中規模以下の宿は、深夜フロントが無人のことがあるんです。標高1,920メートル。「メキシコ=暖かい」を、毛布の中で静かに反省した夜でした。
逆に言えば、乾季の前は石壁が昼の熱で蒸すこともあり、季節によって確認すべき点が変わります。冬は薄手のダウンや羽織りを1枚持っていくだけでも、夜の快適さがまるで違いますよ。



石造りの素敵なホテルを見つけたんですが、冬の夜って寒くないんでしょうか? メキシコだから暖かいと思っていて……。



いい着眼点です。サン・ミゲルは標高1,920メートル、1〜2月の夜は4〜7度まで下がります。石造りのコロニアルは暖房のない宿が多く、中規模以下は深夜フロントも無人で、毛布の追加すら頼めないことがあります。冬に泊まるなら、予約時に「暖房の有無」と「24時間フロント対応か」を必ず確認してください。薄手の羽織りの持参もお忘れなく。
全面石畳とウーバー手前降車——荷物地獄と丘の上ホテルの移動費
軸②に関わる、体力とお金の話です。結論はこう。スーツケースは4輪より頑丈な2輪かバックパックが有利。そして宿は「玄関前まで車が着けるか」を予約前に確認してください。
なぜか。サン・ミゲルの市内には、鉄道も地下鉄も路面電車もありません。セントロは徒歩が基本で、しかも道は全面石畳です。配車アプリのウーバー(Uber)は狭い一方通行や歩行者エリアに入れず、宿の50メートルほど手前で降ろされることがよくあります。
到着初日のことを、今でも覚えています。ウーバーは「この先は道が狭い」と言って、宿の50メートル手前で私を降ろしました。目の前に続くのは、雨上がりの石畳。4輪キャリーを引くと、車輪が石の目地に食い込んで跳ね、まったく前に進みません。
おまけに壁から突き出た樋(カナレス/canales)が、歩道の真ん中に水を落としている。革靴の底が、つるりと滑りました。宿に着く頃には、到着初日の体力は半分になっていました。あなたも、キャリーバッグが石畳で跳ねて悲鳴を上げた経験、ありませんか?
そしてもう一つ、丘の上のホテルには「絶景と移動費のトレードオフ」があります。アタスカデロやバルコネスといった丘の上のエリアは、市街を見下ろすパノラマが魅力です。でも、中心部まで歩いて降りるのは急坂で非現実的。観光や食事のたびにタクシーやウーバーが前提になります。
バルコニーに立った瞬間は、確かに息をのみました。ピンクのパロキア(大聖堂)を中心に、赤い屋根の街が谷いっぱいに広がり、夕日でオレンジに燃えていた。——ただ、翌日から現実が始まります。朝食に街へ降りるにも、夜レストランから戻るにも、毎回タクシーを呼ぶ。2人で3往復した日、財布から500ペソが消えていました。絶景の代金は、宿代の外にあったんです。街歩き中心なら、丘の上の宿代の安さや眺望に釣られると、総額で逆転することがあります。



丘の上の絶景ホテル取ったっす! 街を見下ろせて最高だけど、中心部まで歩いて降りたら坂きつすぎて、帰りは毎回タクシー呼んでるっす……お金かかるっすね。



それ、アタスカデロやバルコネスは徒歩でセントロに降りるのが現実的じゃないんだって。2人で1日3往復すると、移動費だけで1日500ペソくらいいくみたい。街歩き中心なら、セントロか徒歩10〜15分のサン・アントニオを選んだ方が、結局は安くて楽なんだよね。絶景を取るなら、移動費を最初から予算に入れておかないと。
メーターなしタクシーの3倍請求と、セントロ外のスペイン語の壁
移動の話をもう少し。結論は「タクシーは乗る前に必ず金額を確定させる」「行き先はスペイン語のメモか地図のスクリーンショットで見せる」の2点です。
この街の実質的な足は、メーターなし・現金のみのタクシー(相場は約50ペソ)と、配車アプリのウーバー(60〜120ペソ)です。
問題は、メーターなしタクシーが交渉制だということ。観光客と見るや、相場50ペソの区間に150ペソを提示してくる、なんてことが普通に起こります。私も一度、相場の3倍を提示され、しかも行き先がうまく伝わらず、車内でしばらく押し問答になりました。乗る前のひと言、「Cuánto?(いくら?)」を惜しまないでください。
そしてここが多くの人の盲点なのですが、「英語が通じる移住者の街だから安心」という油断が、一番危ないんです。確かにセントロの観光業では英語が通じます。でも一歩外に出ると、急にスペイン語のみの世界になり、運転手はほぼ英語が通じません。行き先はスペイン語表記のメモや地図のスクリーンショットで見せ、翻訳アプリのオフライン辞書を事前にダウンロードしておく。この準備があるだけで、移動のストレスは激減します。
スリ・深夜のバー帰り——「夜、歩いて帰れる距離か」で宿を選ぶ
いよいよ治安の話です。ここは正確にお伝えしたい。結論から言うと、サン・ミゲルの中心部は、体感的に非常に安全です。ただし「正しく」怖がる必要があります。
まず前提として、メキシコで報道される深刻な暴力の多くは、州の工業回廊(セラヤやサラマンカなど)に集中しています。世界遺産の観光地であるサン・ミゲルのセントロ徒歩圏で、旅行者が命の危険にさらされることは稀です。「メキシコ=銃社会で怖い」というイメージだけで判断するのは、実態とずれています。
では何を警戒すべきか。実害として多いのは、ハルディンや火曜のティアンギス(青空市)でのスリ、そして深夜のバー帰りに歩いて帰ることです。実際に、深夜2時にバーを出て歩いて帰った旅行者が、暗い路地で鼻を折られ、財布とスマートフォンを奪われたという話も聞きました。
火曜のティアンギスを歩いた時のことです。色とりどりの果物と香辛料の匂いの中、私は無意識にリュックを体の前に抱え直していました。人波にもまれながら3歩進んで振り返ると、さっきまで背中にあった位置に、見知らぬ手の気配があった気がしたんです。「リュックは前に」——この一瞬を、その習慣が救ってくれました。
- 人混みではリュックを体の前に抱える
- 夜は、距離があってもタクシーで帰る(酔って歩いて帰らない)
- 宿選びの段階で「夜、歩いて帰れる範囲か・帰路が明るいか」を判断軸に入れる
- 女性は、教会や宗教行列では肩と膝を隠す服装が無難。深夜のバー周辺では路上の声かけ(ピロポス)が増える点も頭に入れておく
つまり、治安はホテル選びと直結しています。グアダルーペのように奥の路地が夜暗くなるエリアは、帰路をタクシーにする前提で。過剰に怖がる必要はありませんが、「夜はタクシーで帰る」というルールひとつを守るだけで、サン・ミゲルの夜はぐっと安全になります。
目的別・エリアの選び方早見(サン・アントニオ/セントロ/丘の上ほか)


ここまでの4つの軸を踏まえて、主要エリアを目的別に整理してみましょう。あなたが「静けさ・観光効率・絶景・価格」のどれを優先するかで、選ぶべき拠点は変わります。
| エリア | 静けさ | 観光効率 | 向いている人 |
| サン・アントニオ | ◎(夜静か) | ○(徒歩10〜15分) | 街歩き中心の初〜中級者。コスパ重視・長期滞在 |
| セントロ・イストリコ | △(要・部屋厳選) | ◎(本丸) | 観光効率最優先。教会から一本奥・中庭側を選べる人 |
| グアディアナ/パルケ・フアレス | ◎(鐘が遠い) | ○(徒歩圏) | 静けさ最優先・ファミリー・ゆっくり派 |
| グアダルーペ | ○ | ○(徒歩10〜15分) | アート好き。夜の帰路はタクシー前提 |
| アタスカデロ/バルコネス | ◎ | ×(毎日タクシー) | 絶景優先の上級者。移動費を予算化できる人 |
| ラ・レホナ/サン・ミゲル・ビエホ | ◎ | ×(車前提) | こもって過ごす・郊外の別荘型を求める人 |
私自身の一番のおすすめは、やはりサン・アントニオです。ある朝のことを思い出します。徒歩10分のセントロから一本入った静かな通りの宿で、昨夜は花火も鐘も遠くに聞きながら、ぐっすり眠れました。
テラスでチラキレスを頬張りながら、「眺望より、教会から一本奥」を選んだ判断が、この朝の余裕につながっているのを実感したんです。静かに眠れた翌朝の街歩きは、こんなにも足取りが軽い。これがサン・ミゲルの、本当の楽しみ方だと思います。
まとめ:この6点を押さえれば、サン・ミゲルの「あるある失敗」は全部防げる
長い記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。最後に、サン・ミゲル・デ・アジェンデのホテル選びで後悔しないための要点を、6つに集約してお渡しします。
- ① 教会から一本奥の中庭側・二重窓で、眠りを確保する
- ② 空港はレオン空港(BJX)から1.5時間。送迎を事前手配する
- ③ 9月末の大天使祭とセマナサンタは、会期を確認する
- ④ 冬は、暖房と深夜フロントの有無を確認する
- ⑤ 夜は、距離があってもタクシーで帰る
- ⑥ 水はボトル、飲み物は「シン・イエロ(氷なし)」で頼む
花火も、鐘も、寒暖差も、治安も、言葉の壁も——そのすべてが「事前の知識と準備で防げる問題」です。この6点さえ押さえれば、サン・ミゲルで多くの旅行者がつまずく失敗は、ほぼ全部避けられます。
最後に、あの夕暮れの話をさせてください。ルーフトップバーで、ピンクのパロキアの尖塔が、沈む夕日でシルエットになっていくのを眺めていました。メスカルは一杯だけにしておきました。標高1,920メートルでは、酒の回りが普段の倍ですからね。準備を整えて、土地のリズムを理解して来た者にだけ、この街は唯一無二の顔を見せてくれる。「来てよかった」と、静かに息をのんだ夕暮れでした。



サン・ミゲルのホテル選びは、「教会からの距離=夜の騒音」「夜歩いて帰れる距離か」「季節の備え」「空港送迎の事前手配」で9割が決まります。眠りを優先するなら教会から一本奥の中庭側・二重窓、街歩き中心ならセントロか徒歩圏のサン・アントニオ、絶景優先なら丘の上をタクシー前提で。9月末の大天使祭とセマナサンタは会期を確認、冬は暖房と深夜フロント、空港はレオン空港から1.5時間で送迎を事前手配。この鉄則を押さえれば、後悔する旅行者の大半が経験する失敗を避けられますよ。
数えきれないほどホテルに泊まり、何度もハズレを経験してきた私でも、今はほぼ外しません。あなたも大丈夫です。私の失敗を、どうか踏み台にしてください。あとは、世界一美しいと称されるこの街並みと、ルーフトップの夕景を、思いきり楽しんでくださいね。良い旅を。
よくある質問(FAQ)
- サン・ミゲルで一番おすすめのエリアはどこですか?
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街歩き中心の方には、徒歩10〜15分で静かなサン・アントニオが最も現実的です。観光効率を最優先するなら、セントロの「教会から一本奥・中庭側」の部屋。静けさ最優先ならグアディアナ/パルケ・フアレスが候補になります。
- セントロの安いホテルは避けるべきですか?
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安さだけで選ぶのは危険です。教会至近・広場ビューの部屋は、早朝の花火と真夜中の鐘の直撃を受けます。同じセントロでも「中庭側・二重窓・広場から一本奥」を選べば、安くても快適に眠れます。予約前にクチコミで騒音の言及を確認してください。
- 女性の一人旅でも大丈夫ですか?
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中心部は体感的に安全で、女性の一人旅も多い街です。ただしスリ対策(リュックは前に)と、夜はタクシーで帰るルールは徹底してください。教会や行列では肩と膝を隠す服装が無難です。
- 空港はどこを使うのがベストですか?
-
レオン空港(BJX)が約1.5時間、ケレタロ空港(QRO)が約1.2〜1.4時間で便利です。いずれも直通交通がないため、送迎の事前手配が前提。メキシコシティからの陸路は3.5〜4時間かかり、時間の負担が大きめです。












