「ダブリンのホテルって、どこに泊まればいいんでしょうか?」――この質問を、この一年で100回は受けました。そして、ほぼ全員が同じ前提で質問してきます。「中心部のO’Connell Street周辺なら便利で安心ですよね?」と。
正直に言うと、その前提を真に受けてテンプルバーど真ん中の格安ホテルを予約した20代の頃の私は、金曜の深夜2時に枕を頭に巻きつけながら、天井を見上げて声にならない悲鳴を上げていました。窓を閉めれば部屋は30℃近くまで蒸し暑くなり、開ければ酔客の合唱と喧嘩の声が降ってくる。エアコンはありません。フロントに苦情を言ったら「金曜の夜にこの立地ならわかったはず」と、笑顔で返されました。
この記事では、元旅行代理店勤務で、ホテル宿泊だけを仕事にしてきた私が、ダブリンで痛い目を見まくった末にたどり着いた「後悔しない4つの鉄則」をお伝えします。キーワードは「リフィー川南岸D2 × Luas/DART徒歩5分 × Leap Visitor Card空港購入 × エアコン&エレベーター確認」。この4つを守るだけで、ダブリンのホテル選びは驚くほどシンプルになります。
私の失敗を、どうかあなたの踏み台にしてください。
ダブリンのホテル選びで最初に壊すべき「中心部の常識」
パリ・ロンドンの感覚でダブリンを選ぶと、必ず外します
結論から言います。パリやロンドンで身につけた「中心部に泊まれば便利で安心」という常識を、ダブリンに持ち込むと高い確率でハズレを引きます。理由はシンプルで、ダブリンという街の構造がそれらの都市と根本的に違うからです。
ダブリンはリフィー川・D郵便番号・Luas沿線の三層構造で体験が決まります。物理的な地図では数百メートルしか離れていない2つのホテルが、「夜の静けさ」「治安体感」「翌朝の観光動線」の3軸でまったく別の体験を生みます。地図上で「似た中心部」に見えても、リフィー川を南に渡るか北に渡るか、Luas緑線沿線か徒歩10分圏外かで、旅の満足度は倍以上変わります。
私がこれを思い知ったのは、初めてダブリン空港に降り立った日でした。到着ロビーの電光掲示板を眺めて、反射的に「Trains」の表記を探したんです。ロンドンならヒースロー・エクスプレス、パリならRER、アムステルダムならスキポール直通の特急。西欧の首都の空港に電車が通っていないなんて、その時の私は1ミリも想像していませんでした。
案内係のスタッフに「Where is the train station?」と聞いたら、彼女は申し訳なさそうな笑顔で「There is no train, sir. Bus or taxi only」と答えました。頭の中が真っ白になったのを、今でも覚えています。
つまり、ダブリンの「中心部」を理解するには、まず「西欧首都の中心部=地下鉄でどこでも行ける」という前提を壊す必要があるんです。
この記事があなたに約束する4つのゴール
この記事を読み終える頃には、あなたは次の4つを手に入れているはずです。
- 「地下鉄ゼロの首都」という前提を前提として共有した状態
- テンプルバーに泊まるべきか泊まらないべきかを、時系列の音の描写で自分で判断できる状態
- リフィー川の南北境界を、「時間×場所」の具体的な実用情報として把握した状態
- 到着初日の3手順プロトコルと、予約前に見るべきチェックリストを手にした状態
ダブリンで痛い目を見た筆者のダブリン失敗歴
私はホテル宿泊だけを生業にしているブロガーで、元は旅行代理店勤務でした。20代後半の頃は「安ければ正義」を信条にしていて、初めてのダブリン旅行では1泊€65の「Temple Bar walking distance」と書かれた格安ホテルを迷わず予約しました。結果、そのホテルはリフィー川の北、Sheriff Street寄りの倉庫街にあり、夜は怖くて歩けず、毎晩タクシーで市内中心に出る羽目になりました。4泊でタクシー代€60が飛んで、結局「安く泊まった」はずの差額はきれいに消えました。
そしてその次の年、今度こそテンプルバーど真ん中を攻めようと、目抜き通り沿いの3階の部屋を予約しました。金曜の17時にチェックインしたときは「これぞアイルランド!」と興奮していました。22時を過ぎた頃から、窓の下のパブでフィドルとギターの生演奏が始まり、それは素敵な夜の予感でした。23時、24時、深夜1時、2時、3時、4時――あの夜のことは、後ほど時系列で詳しくお話しします。あの夜を境に、私の「ホテル選び」の哲学は完全に書き換わりました。
この記事に書いていることは、すべて私が自分のクレジットカードと自分の睡眠時間を代償にして学んだことです。情報の正確さではなく、情報の「痛さ」で判断してください。
知っておくべき大前提:ダブリンは「地下鉄のない西欧首都」である
2026年現在、ダブリン空港に鉄道もメトロもない
これは声を大にして言いたいのですが、2026年4月現在、ダブリン空港には直通鉄道もメトロも一本も通っていません。MetroLinkという地下鉄計画は存在するものの、開通予測は2030年代半ば。つまり、この記事を読んでいるあなたが今年ダブリンに行く場合、空港から市内までの交通手段はバスかタクシーの2択しかありません。
「え、西欧の首都なのに?」と思いますよね。私も初めてそれを知ったときは、頭の中で同じ声が響きました。ロンドンにはヒースロー・エクスプレスとピカデリー線、パリにはRER B、ウィーンにはCATとS7、アムステルダムにはスキポール直通特急、マドリードには地下鉄、コペンハーゲンにはMetro、ストックホルムにはアーランダ・エクスプレス――西欧の主要首都空港はほぼすべて鉄道接続があります。ダブリンだけが例外なんです。
あの到着ロビーでの40分間は忘れられません。Information Deskで「There is no train, sir」と言われたあと、「いや、地図アプリで見ればどこかに駅があるはずだ」と信じ込んで、ターミナル外周を時計回りに歩いたんです。結果、スーツケースのコロコロ音だけが響く1時間弱の徘徊の末、Aircoachのバス停にたどり着いた頃には疲労困憊でした。「なんで調べてから来なかったんだろう」――スマホのバッテリーも残り12%でした。
市内交通の主役はDublin Bus/Luas/DARTの3本立て
ダブリンの市内交通は、ざっくり次の3つで回っています。
| 交通機関 | カバー範囲 | 主な特徴 |
| Luas 緑線 | 南北縦断(セント・スティーブンス・グリーン〜ランラー〜ダンドラム方面) | 観光の主戦場を縦に貫く。南岸D2と住宅地を直結 |
| Luas 赤線 | 東西(コノリー駅〜スミスフィールド〜ヒューストン駅) | スミスフィールド穴場狙いに必須。終電深夜0時前後 |
| DART | 沿岸(ハウス〜ダンレアリー) | ボールズブリッジ・サンディマウント方面で威力を発揮 |
| Dublin Bus | 市内全域+郊外 | 路線網は最大だが現金札NG・おつりなしの落とし穴あり |
ここで一番やってはいけないのが、Dublin Busに€5札や€10札を持って乗ろうとすることです。ダブリンのバスは現金払いに対応していますが、お札は一切受け付けません。コインのみ、しかもおつりは出ません。私はこれで一度、O’Connell通りのバス停で15A系統に€5札を差し出して運転手に首を振られ、「No notes. Coins only. And no change」と言われたことがあります。
慌てて小銭を探して€2を入れたら、レシートを渡されて「これをDublin Busのオフィスに持っていけば差額が戻る」と説明されました。4日間の旅行で、わざわざオフィスに行って€0.70の差額を取り戻す人がいるでしょうか?私は行きませんでした。そしてそのとき、もっと早くLeap Visitor Cardを買っておくべきだったと、腹の底から後悔しました。
Leap Visitor Cardは「到着後30分以内」に買うのが鉄則
Leap Visitor Cardは、旅行者向けの交通系ICカードです。3日券で€19.50、バス・Luas・DARTをすべて1枚でカバーします。現金払いに比べて約30%安くなるうえ、乗るたびに小銭を探す苦行から解放されます。
買う場所は、空港到着ロビーのコンビニ(SPARやWH Smith等)か、市内のSPAR・Centraなどのコンビニです。到着して30分以内に買うという頭のルールを作ってください。私はこれを怠って€0.70を失いました。あなたは繰り返さないでください。

空港から電車で市内15分っしょ?たしかLuasも空港まで通ってるって聞いたような気が…。ていうか、バスくらい現金で乗れるっしょ、€5札でちょうどいいじゃないっすか!



タケシくん、まずダブリン空港に電車は通ってないよ。Aircoachかタクシーしかない。それからDublin Busはお札が使えないの。コインだけで、おつりも出ないから、€5札を出したら€5そのまま取られて「後でオフィスで差額を返してもらって」って言われるだけ。到着したらまず空港のコンビニでLeap Visitor Cardを買うのが鉄則だよ。
リフィー川で街が変わる:ダブリン「本当の地図」の読み方


リフィー川を挟む南岸と北岸の「肌感覚」の違い
ダブリンの地図を開くと、まず目に入るのが東西に横切るリフィー川です。この川が、ダブリンのホテル選びにおける最も重要な境界線です。
南岸(リフィー川より南、D2を中心としたエリア)には、観光・行政・大学・高級住宅街が集中しています。トリニティ・カレッジ、グラフトン・ストリート、セント・スティーブンス・グリーン、メリオン・スクエア、国立美術館、国立博物館。そしてこの一帯は、昼夜を問わず警察巡回が多く、女性の一人歩きでも比較的安心なエリアです。
北岸(リフィー川より北、D1を中心としたエリア)は、もう少し複雑です。昼はO’Connell通りとHenry Streetの賑やかな繁華街ですが、その北側に広がる一部のゾーン――Sheriff Street方面、Thomas Street、The Coombe界隈――は夜間の徒歩移動を避けたほうが無難なエリアです。ただし、同じ北岸でもスミスフィールド(D7)は再開発が進んだヒップな穴場で、夜でも落ち着いています。
つまり、「D1=北側=危険」という雑な括りは正しくありません。「Luas赤線のどちら側か」「時間帯はいつか」「通り1本分ずれているだけで雰囲気が変わる」という繊細な判断が必要です。この記事では階層論で語るのではなく、「交通と夜の人通り」という実用軸で境界線を引きます。
D郵便番号の基本:D1/D2/D4/D6/D7
ダブリンの住所には「Dublin 1」「Dublin 2」のようにD郵便番号がつきます。これを知っているだけで、ホテルの立地判断が一気に楽になります。
- D1:O’Connell通り周辺(北岸中心部)。昼は繁華街、夜はエリア内格差が大きい
- D2:テンプルバー/トリニティ・カレッジ/グラフトン・ストリート/セント・スティーブンス・グリーン/メリオン・スクエア(南岸観光の主戦場)
- D4:ボールズブリッジ/ドニーブルック(南東の大使館街・高級住宅)
- D6/D6W:ランラー/ラトマインズ/ポートベロ(南側の落ち着いた住宅エリア)
- D7:スミスフィールド/フィニアス・パーク寄り(北岸の再開発穴場)
初訪問で迷ったら、D2南側を選んでおけば、まずハズレません。そのうえで予算や旅のスタイルによってD4、D6、D7を使い分けるのが、失敗しない選び方の骨格です。
Luas緑線とDARTを基準にホテルを選ぶ
地下鉄がないダブリンでは、Luas緑線かDARTの駅から徒歩5分以内が、事実上の最低条件です。バスのみ依存のエリアは、渋滞と運行頻度の不安定さで観光効率が崩壊します。雨が降れば傘は風で折れるので、バス停まで10分歩くだけで全身ずぶ濡れになります。これは大げさではなく、8月のダブリンでも普通に起こります。
Luas緑線はセント・スティーブンス・グリーン駅を核に、南はランラー、ダンドラム方面まで延びています。DARTは沿岸を走り、ランズダウン・ロード駅(ボールズブリッジ)、サンディマウント駅(D4海側)、ダンレアリー駅などをカバー。この2路線沿線でホテルを探せば、地下鉄がない首都でも観光と宿の移動ストレスは最小限に抑えられます。
テンプルバー宿泊の真実:金曜深夜23時から朝5時に何が起きるか
テンプルバーが世界中の旅行者を惹きつける理由(正直に書きます)
最初に断っておくと、私はテンプルバーという街が大好きです。石畳の通り、色とりどりのファサード、どこからともなく漏れてくるフィドルとパイプの音色。昼のテンプルバーを歩くと、本当にアイルランドに来てよかったと思えます。トリニティ・カレッジとギネス・ストアハウスの中間点にあり、観光動線の要の位置です。だから「テンプルバーに泊まりたい」という気持ちは、私には痛いほどわかります。
ただ、「テンプルバーを訪れる」ことと「テンプルバーに泊まる」ことは別問題です。この2つを混同した結果、何人の旅行者が金曜の深夜4時に枕を頭に巻きつけているか――私はその筆頭です。
金曜23時から朝5時までの「音の時系列」(実況)
あの夜のことを、時系列で再現します。場所はテンプルバー目抜き通り沿い、3階の角部屋。チェックイン時間は金曜17時。
窓を開けて聴く分には、完璧に素敵な夜。ベッドに寝転がって「これぞダブリン」とつぶやいた。この時点では、まだ後の悲劇は知らなかった。
通りのパブから一斉に「Fields of Athenry」が聞こえてきた。数百人の男女がユニゾンで歌う。最初の10分は感動したが、10分後に気づいた――この音量で、今夜はこれが続くのだと。
窓を閉めた。部屋の温度が一気に上がり始める。エアコンはない。小さな扇風機1台。窓を閉めて30分後、室温は28℃を超えた。
パブが閉店時間を迎え、酔客が通りに溢れた。男性同士の怒鳴り声、女性の悲鳴のような笑い声、ガラス瓶が石畳に落ちて割れる乾いた音。窓を開けても閉めても、地獄は続く。
たった一人の酔っぱらいが、石畳に座り込んで「Molly Malone」を最初から最後まで歌い切った。拍手する観客はいない。私は枕を頭に巻きつけたまま、天井を見つめていた。もう怒りも通り越して、「この旅行の記録として全部覚えておこう」と思った。
通りから人が消えた。しかし窓の外はすでに薄明るい。結局、一睡もできないまま朝を迎えた。翌日の観光は、ゾンビ状態でトリニティ・カレッジを歩いた記憶しかない。
Tripadvisorでテンプルバーのホテルを検索すると、口コミのタイトルに「Impossible to sleep」「Do not stay if you want to sleep」「Earplugs are not enough」といった言葉が並びます。私だけが特別運が悪かったのではなく、金・土曜のテンプルバーど真ん中はそういう場所だという、揺るぎない事実がそこにあります。
それでもテンプルバーに泊まりたい人の「5つの条件」
とはいえ、「雰囲気は絶対にテンプルバーがいい」という気持ちも、わかります。私もいまだにその気持ちと戦っています。もしどうしても泊まるなら、次の5条件を全部満たしてください。ひとつでも欠ければ、私と同じ夜になります。
- ①平日泊に限定する(金・土曜は回避)
- ②目抜き通りから2ブロック離す(地図で確認、角部屋NG)
- ③上層階(3階以上)を指定する(低層階は音が直撃)
- ④通り裏側(courtyard side / back room)をリクエストする
- ⑤防音二重窓+エアコン完備の物件に絞る(口コミで「air conditioning」「double glazing」を検索)
この5条件を満たすテンプルバー・ホテルは、存在はします。ただし数は少なく、価格は€300を超える物件が中心です。ここまでコストを払うなら、同じ価格帯で2ブロック南のグラフトン・ストリート界隈やセント・スティーブンス・グリーン寄りに泊まり、昼にテンプルバーを散歩で訪れる選択肢のほうが、私は合理的だと思っています。



テンプルバーのど真ん中で1泊€80の部屋見つけたっすよ!パブも徒歩ゼロ分、本場のギネス飲みまくって朝はフィッシュ&チップス、これぞダブリンっしょ!



まず、テンプルバーは金・土曜の深夜2時から4時までライブ音楽と酔客の声が鳴り止まず、アイルランドのホテルは多くがエアコンなしなので、窓を閉めれば蒸し暑く開ければ騒音という二択です。Tripadvisorにも「Impossible to sleep」というタイトルのレビューがずらりと並びます。2ブロック北のトリニティ・カレッジ側、あるいはグラフトン・ストリート西側のセント・スティーブンス・グリーン寄りに移すだけで、同じ価格帯で夜が静かになりますよ。雰囲気を味わうのは昼の散歩で十分です。
セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエアが初訪問の「正解」である理由


ダブリンで最も落ち着いた高級静穏エリアの顔
ここが本記事のメイン結論です。初めてダブリンを訪れるなら、セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエア周辺に泊まれば、まずハズレません。
このエリアの魅力を一言で言うと、「ジョージアン建築の美しさはテンプルバーに負けず、警察巡回が多く、女性の一人歩きでも比較的安心な、ダブリンで最も落ち着いた高級静穏エリア」です。
実際に私がセント・スティーブンス・グリーンの広場で芝生に座って過ごした夏の夕方を思い出します。街路樹越しに18世紀のジョージアン建築が並び、カモの親子が池を横切り、通りすがりのサラリーマンがスーツのままベンチで本を読んでいました。テンプルバーの狂騒とは、同じ街とは思えないほど穏やかな時間が流れていました。
観光・治安・交通の「三角形」がここで完結する
このエリアが初訪問者に最強である理由は、観光・治安・交通の3つが同時に揃っているからです。
- 観光:グラフトン・ストリート(メインショッピング街)、トリニティ・カレッジ「ロング・ルーム」とケルズの書、国立美術館、国立博物館、すべて徒歩圏。テンプルバーへも徒歩10分
- 治安:警察巡回が多く、夜の一人歩きでも比較的安心。深夜でも街灯が十分
- 交通:Luas緑線セント・スティーブンス・グリーン駅、主要バス路線が集中、空港Aircoachもメリオン・スクエア経由で停車
グラフトン・ストリートをセント・スティーブンス・グリーンから北に歩くと、ストリートミュージシャンがゲール語のバラードを歌っています。5分歩けばトリニティ・カレッジの石造りの門があり、その奥にロング・ルームの天井までびっしり並ぶ古書と、ケルズの書のページが輝いています。観光は南、宿泊も南。これがダブリンの正解です。
中級〜高級のホテルラインナップと価格帯の目安
セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエアのホテルは、中級〜高級帯が中心です。シーズンによる変動が大きいので、あくまで目安ですが、次のような水準になります。
| グレード | 1泊の目安 | 特徴 |
| 中級 | €180〜280 | エアコン・エレベーター完備が多い。朝食付きが主流 |
| 上位中級 | €280〜400 | ジョージアン建築改装の雰囲気派。防音・水圧が安定 |
| 高級 | €400〜700 | シェルボーン等の老舗ラグジュアリー。サービス圧倒的 |
「ちょっと高くないですか?」という声が聞こえてきそうですが、ここで私は「払う安全マージン」という考え方を提案したいのです。€200前後の中級ホテルに泊まると、毎朝よく眠った状態で観光に出発できます。
朝食もしっかり食べられます。夜は安心して一人で散歩できます。€65の格安宿で私が失った4泊分のタクシー代と睡眠時間と翌日の観光クオリティを考えれば、この€30〜50の差は「払って得する安全マージン」です。
予約前には、必ず口コミで「air conditioning」「lift」「quiet room」「water pressure」の4つを検索してください。この4つの確認で、後悔の9割は消えます。



テンプルバーの雰囲気は捨てがたいんですけど、深夜の騒音と治安が心配で…。雰囲気は楽しみつつ、夜は静かに眠れて、一人歩きも安心なエリアってどこですか?



セント・スティーブンス・グリーンからメリオン・スクエアにかけてのエリアがベストバランスです。ジョージアン建築の美しさはテンプルバーに負けませんし、警察巡回が多く、女性の一人歩きでも比較的安心です。Luas緑線とバス網も充実していて、テンプルバーへは徒歩10分。雰囲気はテンプルバーを昼に散歩で楽しんで、泊まるのはセント・スティーブンス・グリーン周辺。これがダブリンの正解です。もう少し予算を抑えたいならスミスフィールドが穴場で、テンプルバーより15〜20%安く、Luas赤線で直結します。
予算・目的別の「勝てるエリア」6つの使い分け
セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエアが万能解ではあるものの、旅のスタイルによってはもっと合うエリアがあります。ここでは6つの選択肢を整理します。


トリニティ・カレッジ/グラフトン・ストリート界隈(D2):観光効率重視派
ダブリンの観光中心地そのものです。トリニティ・カレッジ図書館「ロング・ルーム」とケルズの書、ギネス・ストアハウス方面へのアクセスが至便で、テンプルバーへも徒歩5分以内。警察巡回が多く、昼夜とも比較的安全です。宿泊費はセント・スティーブンス・グリーン寄りと同等ですが、移動コストとトータルで考えると結果的に割安になります。
観光の効率だけを最優先したい2〜3泊の弾丸ダブリン滞在なら、ここが最強です。
スミスフィールド(D7):コスパ重視+ヒップな穴場派
スミスフィールドは、私がダブリン再訪時に初めて「穴場」を発見したときの驚きを今でも覚えているエリアです。ジェイムソン蒸留所の旧本拠地で、近年再開発が進み、若手アーティスト系のカフェ・ギャラリー・ブティックホテルが集まっています。蒸留所の煙突を改装した展望台から市街を一望できるのも、ここならではの体験です。
宿泊費はテンプルバーより15〜20%安く、Luas赤線で直通5〜10分。夜は静かで地元感があり、若い世代の旅行者やバックパッカーの支持も高いエリアです。注意点はLuas赤線の終電(深夜0時頃)以降はタクシー必須になることくらい。スミスフィールド広場のカフェでフラットホワイトを€3.50で飲みながら、テンプルバーの€6コーヒーを思い出してニヤリとする――そんな楽しみ方ができるエリアです。
ボールズブリッジ/ドニーブルック(D4):ビジネス・ファミリー・女性一人旅派
大使館街の高級住宅エリアです。アメリカ大使館、各国大使館、アヴィヴァ・スタジアム周辺。ここはダブリンで最も「静か」と「安全」が両立しているエリアで、ファミリー、女性一人旅、長期滞在者に強くおすすめです。
交通はDARTのランズダウン・ロード駅とサンディマウント駅で、市内中心まで5〜10分。サンディマウント海岸は引き潮の時に1km先まで砂浜が広がる広大なビーチになり、朝の散歩にはこれ以上ない場所です。注意点はひとつだけ、アヴィヴァ・スタジアムでラグビー国際試合がある日は宿泊費が普段の倍に跳ね上がることです。日程を確認してから予約してください。
ランラー/ポートベロ(D6/D8):長期滞在・地元感派
Luas緑線沿いの落ち着いた住宅エリアです。個人経営のカフェ・レストラン・ベーカリーが充実し、グランドキャナル沿いの散歩道が美しい。宿泊費は中心部より15〜25%割安で、Luas緑線でセント・スティーブンス・グリーンまで5〜8分。
「観光客として滞在する」ではなく「ダブリンに住む感覚で過ごす」ことを大切にしたい長期滞在者向きです。1週間以上の滞在なら、私はここを強く推します。
テンプルバー(D2内):雰囲気優先+平日泊限定派
前のH2で詳しく書いた通りです。泊まるなら「平日・2ブロック離す・上層階・通り裏側・防音二重窓+エアコン完備」の5条件を全部満たす物件に限定してください。基本は「昼に訪れる場所」であり、「夜に眠る場所」ではありません。
避けるべき格安郊外:Swords/Tallaght/Citywest


最後にネガティブリストを。Hotels.comで「ダブリン 安いホテル」で検索すると、スウォーズ(Swords)、タラ(Tallaght)、シティウェスト(Citywest)といった郊外の€70〜90帯が上位に来ます。ここを選ぶと何が起きるか、私は経験しました。
空港送迎込みで再計算すると、結局トータルで中心部より高くつきます。タクシー代€30〜45が往復で€60〜90飛び、深夜便なら公共交通がなくなり、さらにコストが膨らみます。「安く見えるけどトータルで負ける」典型パターンです。
郊外ホテルを検討するなら、必ず「空港送迎込みの総額」と「市内中心までの往復タクシー代」を足して、中心部の中級ホテルと比較してください。その計算をした上で「やはり郊外のほうが安い」と言えるケースは、私の経験上ほとんどありません。
治安の「見えない境界線」:時間×場所で描く夜のダブリン
昼と夜で顔が変わる通り:オコンネル通り
ダブリンの治安を語るときに、必ず言及しないといけないのがオコンネル通り(O’Connell Street)です。昼間は目抜き通りの活気、路面電車のLuas、歴史的モニュメントに囲まれた観光ゾーンで、誰もが安心して歩けます。ただし金・土曜の深夜帯、特にBoardwalk沿いや通りの北端は、昼とは別の顔を見せます。酩酊者が通りで大声を上げ、一部では薬物関連のトラブルも報告されています。
自衛策はシンプルです。オコンネル通りは「昼の通過」までに留め、深夜の単独徒歩移動は避ける。ATMの使用も昼に限定し、できればホテルロビー内か銀行店内のATMを使う。これだけ守れば、オコンネル通りは問題のないエリアです。
夜間の徒歩を避けたい北側ゾーン
リフィー川の北側には、夜間の徒歩を避けたほうが無難なゾーンがいくつかあります。具体的には次の3エリアです。
- Sheriff Street方面(コノリー駅の裏手、東寄り)
- Thomas Street(リフィー川北〜南西寄りの一部)
- The Coombe界隈(南西の一部、夜間の人通り極小ゾーン)
大事なことなので繰り返しますが、これは「立ち入るな」ではなく「夜間の徒歩移動を避ける/夜はタクシー必須」という意味です。昼の通過や路面電車での横断は問題ありません。地元民も昼間は普通に歩いています。
さて、ここで私の格安宿事件の詳細を話させてください。Hotels.comで「Temple Bar walking distance」「€65/night」という文字列に惹かれて予約した宿は、到着してGoogleマップを開いたらリフィー川の北、Sheriff Street寄りの倉庫街でした。
正確には「Temple Barまで徒歩18分」の距離でしたが、その18分のうち後半7分は夜に歩くのが怖い道でした。20時、ホテルから徒歩でテンプルバーへ向かう道は人通りが消え、街灯が暗く、向こうから歩いてくる男の視線が怖くて足早に通り過ぎました。結局、その後の4泊はホテル⇔市内中心がタクシー移動になり、往復€15×4泊=€60が差額として消えました。
教訓は「Temple Bar walking distance」という予約サイトの表記を絶対に信じないことです。必ずGoogleマップに住所を入れて、リフィー川のどちら側か、どの通りか、深夜に歩ける道かを確認してください。「walking distance」は距離情報であって、治安情報ではありません。
スリ・ATMスキミング・「親切な人」詐欺の3大リスク
ダブリンで観光客が遭遇しやすいリスクは、凶悪犯罪ではありません。スリ・ATMスキミング・「親切な人」詐欺の3つです。特にO’Connell通り、グラフトン・ストリート、テンプルバー周辺は要注意エリアです。
私が実際に巻き込まれた「親切な人」詐欺の手口を、恐怖を煽るためではなく対策のために、詳しく書きます。
O’Connell通りのATMで、英語表示の操作に手間取っていた時のことです。後ろから「Need help?」と笑顔の男が肩越しに覗き込んできました。私は反射的にカードを抜こうとしたんですが、男は「I can show you」と言って手を伸ばしてきました。一瞬カードを取られそうになり、慌てて「No thank you」と強めに言って機械から離れました。
その場はそれで終わったと思っていたのですが、後日、帰国してから銀行の明細を見ると、ダブリンで使った覚えのない€450の請求が載っていました。「親切な人」がスキマー(カード情報を読み取る小型機器)に通した数秒で、カード情報は丸ごと盗まれていたんです。
「親切な人」詐欺の手口は、ざっくり3パターンあります。
- 手口①:カードを一瞬預ける─「操作してあげる」と言ってカードを受け取り、その数秒でスキマーに通す
- 手口②:暗証番号盗み見──肩越しにキー入力を覗き、スキマー取得と組み合わせる
- 手口③:スキマー仕込み──ATMのカード挿入口に小型機器を仕込み、通るカード全部の情報を盗む
対策は非常にシンプルで、次の3原則を守るだけです。
- ATMはホテルロビー内か銀行店内のもののみ使用する(路上ATMは使わない)
- 路上ATMで知らない人に話しかけられたら、即操作中止(カードを抜いてその場を離れる)
- 日本帰国後、すぐにカード明細をチェックし、身に覚えのない請求があれば即カード会社に連絡



O’Connell通りでATMを使うとき、知らない人に「助けてあげる」って声をかけられるって聞いたんですけど、そういう時ってどうすればいいんですか?一人で夜歩くのも怖くて…。



手口は3つあります。カードを一瞬預ける、暗証番号盗み見、スキマー仕込み。対策はシンプルで、ATMはホテルロビー内か銀行店内のものだけを使う、路上ATMで話しかけられたら即操作中止、帰国後すぐ明細チェック。この3つを守ればまず大丈夫です。夜の一人歩きは、22時以降ならFreeNowやBoltのアプリでタクシーを呼ぶ習慣をつけてください。セント・スティーブンス・グリーン周辺なら徒歩でも比較的安全ですが、無理は禁物です。
単独女性が夜間に避けたいエリア
単独女性の旅行者から「夜の一人歩きは大丈夫ですか?」という質問をよく受けます。結論から言うと、セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエア周辺なら、22時前後までは比較的安心して歩けます。警察巡回が多く、街灯も十分、深夜でもタクシーを拾いやすい。
ただし、避けたほうがよい時間帯と場所もあります。
- Temple BarやHarcourt Street周辺のクラブ深夜時間帯(酩酊者増加、飲み物への薬物混入=spikingの報告あり)
- Phoenix Park周辺の夜間(広大な公園で街灯少なめ、人通り極小)
- グランドキャナル沿いの夜間単独移動
対処法は、22時以降はFreeNowかBoltでタクシーを呼んで、ホテルに直行する。たったこれだけで、夜のリスクはほぼゼロにできます。両アプリは事前にスマホに入れておいてください。現地で初めてダウンロードするより、空港のWi-Fiを使える間に登録まで済ませておくのがベストです。
空港からホテルまで「到着初日」3手順プロトコル
ここまで読んでくれたあなたは、もう「地下鉄ゼロ」「南岸D2」「Leap Visitor Card」の3つのキーワードを頭に入れてくれているはずです。それを踏まえて、到着から市内ホテルまでの動線を、3手順のプロトコルとしてまとめます。
到着ロビーを出たら、まっすぐAircoachの券売機か窓口に向かいます。事前オンライン予約なら€6〜、現地購入でも€7〜。25〜35分で市内主要停留所(O’Connell Street/Trinity College/Merrion Square/Heuston Station)に停車します。24時間運行なので深夜便でも安心。Dublin Express(€7〜、約20分間隔)かタクシー(€25〜45+M50通行料€2後乗せ)も選択肢ですが、コストと安定性のバランスで私はAircoach推しです。
ホテル予約時に「Aircoach停留所から徒歩5分以内」で選んでおけば、降車後のストレスはゼロです。セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエア周辺に泊まるなら、Merrion Square停留所が最寄り。グラフトン・ストリート界隈ならTrinity College停留所。深夜到着なら24時間運行のAircoach 747系統を使えば、タクシー€45を節約できます。
降車後、ホテルにチェックインする前か後に、近くのSPARやCentraでLeap Visitor Cardを購入してください。3日券€19.50、バス・Luas・DARTがすべて1枚でカバー。現金払いより約30%安くなります。なお、空港到着ロビーのコンビニでも買えるので、Aircoachに乗る前に買ってしまうのが最短ルートです。
この3手順を頭に入れておくだけで、到着初日の「どうしよう、どこに行けばいいんだ」という迷子感が完全に消えます。私が40分ターミナル外周を歩き回ったあの時間を、あなたは体験せずに済みます。
タクシーを使う場合の鉄則
「深夜便で疲れているから、もう迷わずタクシーで直行したい」という選択もアリです。その場合の鉄則は3つだけ。
- 必ず空港公認のタクシー乗り場を使う(ターミナル外の非公認車両は避ける)
- 乗車時にメーターが動いていることを確認する
- 料金は€25〜45前後+M50通行料€2が後乗せされることを頭に入れておく
FreeNow/Boltアプリを事前に入れておけば、降車後の市内移動にもそのまま使えます。料金の事前確認ができるので、夜の移動にはアプリ経由のほうが安心です。
予約前チェックリスト:ジョージアン建物の「見えない落とし穴」
エアコンの有無を必ず確認する
ここから先は、ホテル予約前に必ずチェックしてほしい設備4項目の話です。まず最初はエアコンの有無。ダブリンは涼しい気候だから冷房は不要、と思う方もいらっしゃると思いますが、これは甘いです。
確かにダブリンの夏の最高気温は18〜20℃が標準で、日本の感覚では「涼しい」の範疇です。ただし問題は「窓を開けられないホテルで、夜の室温がどうなるか」です。テンプルバー近隣や幹線道路沿いのホテルは、騒音対策で窓を開けられません。そうなると夏でも室温は27〜30℃まで上がります。エアコンがあれば涼しい、なければ寝苦しい――この差は決定的です。
ダブリンのホテルの多くはエアコンを設置していません。これはジョージアン様式・ビクトリアン様式のタウンハウス改装ホテルが多いためで、構造的に後付けが難しいんです。冷房完備を売りにしているのは、大手国際チェーン(Hilton、Radisson Blu、Marriott等)と一部の新築ホテルだけです。
予約前には、必ず口コミで「air conditioning」「AC」「aircon」の3語を検索してください。「No AC」「No air conditioning」と書かれていたら、夏場のテンプルバー近辺では避けるが吉です。
エレベーター(lift)の有無を確認する
次はエレベーター。これも同じく、ジョージアン・ビクトリアン様式の建物は構造上エレベーターの後付けが難しいため、エレベーター不在の物件が多いです。
私はダブリン2回目の訪問で、これを痛感しました。グラフトン・ストリートの裏手にある、口コミ評価4.6の素敵なB&Bを予約して、チェックインしてみたら螺旋階段の幅が60cmしかなかったんです。部屋は3階。23kgのスーツケースを抱えて、ジョージアン様式の木の階段を一段ずつ登りました。
途中で2回休憩を挟み、10分かけて部屋にたどり着いたときには、完全に息切れしていました。あのB&Bは素晴らしかったですが、スーツケースで階段3階分の上りは苦行以外の何物でもありませんでした。
口コミで「lift」「elevator」「stairs」「no lift」を検索してください。スーツケースが大きい人、家族旅行でベビーカーがある人、足腰に不安がある人は、必ずエレベーター完備の物件を選んでください。
水圧・防音・窓の種類
3つ目は水圧、4つ目は防音です。
シャワー水圧は「water pressure」で口コミ検索してください。ダブリンの古い建物は水圧が弱く、お湯の出方も不安定な物件があります。「weak water pressure」「lukewarm shower」といったコメントが並んでいたら避けるべきサインです。
防音については、double glazing(防音二重窓)の有無が決定的です。特にテンプルバー近隣やO’Connell通り沿いの物件を選ぶ場合、これがないと前のH2で紹介した金曜深夜4時の「Molly Malone」独唱を部屋で聞くことになります。物件詳細に「double glazing」「soundproof」「quiet room」の記載があるか、口コミで「noise」がどう語られているかを確認してください。
テンプルバー近辺に泊まる場合は、予約時に「courtyard side」「back room」を明示的にリクエストできるか聞いてみるのも有効です。通り裏側の部屋なら、同じホテルでも騒音レベルが1/3以下になります。
予約サイト上の「表記」を疑う技術
最後に、予約サイトの表記そのものを疑う目を持ってください。
- 「Temple Bar walking distance」──川北の倉庫街を指している場合あり。必ずGoogleマップで住所確認
- 「City Centre」──幅広すぎる(D1北端からD2南端まで全部入る)。D郵便番号レベルで確認
- 「Close to attractions」──「近い」の定義が曖昧。必ずLuas駅/Aircoach停留所からの徒歩ルートを事前シミュレーション
ホテルを予約する前に、必ずGoogleマップにホテル住所をピン留めして、Luas駅/Aircoach停留所/テンプルバー/セント・スティーブンス・グリーンまでの徒歩経路を確認してください。この一手間で、私の€60タクシー事件はあなたの身には起こりません。



€65で「Temple Bar walking distance」の宿見つけたっす!超お得じゃないっすか!口コミも★4.2あるし、これで決まりっしょ!



タケシくん、まずGoogleマップに住所を入れてみてください。リフィー川の北、Sheriff Street寄りの倉庫街かもしれません。「Temple Bar walking distance」は距離情報であって治安情報ではありません。私も同じ罠にハマって、4泊でタクシー代€60が飛びました。必ず川のどちら側か、どの通りか、夜に歩ける道かを事前に確認してくださいね。
アイルランド特有の「知らないと詰む」文化的ハードル
パブのカウンター注文+その場払い+ラウンド制
ダブリンに来てパブに入らない旅行者はいません。そしてパブで最初につまずくのが、注文方法と支払いマナーの3点セットです。これを知らないと、パブでの体験が一気に気まずくなります。
- ①カウンター注文──テーブルで待っていても誰も来ません。カウンターまで行って自分で注文します
- ②その場払い──注文と同時に現金かカードで支払います。テーブルに伝票が来るシステムではありません
- ③ラウンド制──グループで飲むときは、全員が順番に「全員分」を一回ずつおごります
私がラウンド制で恥をかいた話をさせてください。初めてダブリンで現地の友人4人と一緒にパブに入ったとき、私は「自分の分は自分で払えばいいだろう」と思って、最初に自分のギネス1パイントだけをカウンターで注文して、テーブルに戻りました。その瞬間、テーブルの空気が一気に冷えたんです。誰も何も言いませんでしたが、友人の一人が次に「次は俺が全員分買うよ」と立ち上がったとき、ようやく自分が何をしでかしたか理解しました。アイルランドのパブでは、4人グループなら4人分を一人ずつ順番におごるのが暗黙のルールだったんです。
このラウンド制を知っていると、現地の友達もできやすくなります。逆に知らないと、「あいつはケチだ」と思われて、2軒目に誘われなくなります。パブに行く前に、この3点セットだけは頭に入れておいてください。
テンプルバーのギネス1パイント€11と2ブロック東の€5.80
テンプルバーのパブで、友人と4人でギネスを1杯ずつ頼んだときのことです。カウンターで「Four pints of Guinness, please」と注文しました。バーテンダーが4杯のギネスを注ぎ、泡が落ち着くのを待つ間、笑顔で伝票を受け取って――€44。1パイント€11です。値段を見て、一瞬息が止まりました。
隣のテーブルの地元客が雑談していたのを聞くと、「2ブロック東のSouth Great George’s Streetのパブなら、同じギネスが€5.80だよ」という話をしていました。実際に翌日行ってみたら、本当に€5.80でした。テンプルバーのギネスは「観光税」込みの価格です。4割〜5割は観光客に上乗せされた金額と考えてください。
とはいえ、テンプルバーの賑やかな雰囲気の中でギネスを飲む体験は、1回は経験する価値があります。全否定はしません。ただ、2日目・3日目のパブは2ブロック離れた地元エリアにしてみてください。同じギネスが半額、店の客層は地元民中心、バーテンダーとの会話も弾みます。本当のダブリンのパブ体験は、むしろ観光地から離れた店にあります。
「1日に四季がある」天候と8月でも凍える現実
「アイルランドの夏は涼しくていいよね」と言われることがありますが、この「涼しい」は、日本人のイメージとは全然違う涼しさです。具体的に、私の8月ダブリン上陸の話をさせてください。
8月の真夏、私はTシャツとショートパンツでダブリン空港に降り立ちました。成田を出るときの東京は33℃で、「向こうも夏だから薄着で大丈夫」と思っていたんです。到着ロビーを出てターミナルの外に一歩踏み出した瞬間、15℃の風が肌を刺しました。鳥肌が立つ。Aircoachの中でリュックから薄手のパーカーを引っ張り出しましたが、薄すぎて全然暖かくありません。30分後、O’Connell通りのプリムマークに駆け込んで、フリースを€20で緊急購入しました。
すれ違うダブリンの人々は、8月なのに全員ジャケットかフリースを着ていました。東京の10月の服装が、ダブリンの8月の正解だったんです。これは誇張ではなく、気象データ上の事実で、ダブリンの8月の平均最高気温は18〜20℃、平均最低気温は10〜12℃です。夜は普通に寒いです。
さらに「1日に四季がある」と言われる通り、午後3時に晴れていた空が5分後には真っ黒になり、横殴りの雨が降り始めることが日常茶飯事です。傘は風で骨が折れるのでレインジャケットが必須です。折りたたみ傘に頼ってはいけません。ダブリンの8月旅行の正解装備は、薄手フリース+防水ジャケット+歩きやすい防水シューズ、です。
12月のダブリンは、もっと劇的です。16時には日没を迎え、グラフトン・ストリートのクリスマスイルミネーションが点灯します。ホットウィスキー€8をパブで頼むと、レモンとクローブと蜂蜜の香りが立ち上り、グレーの石造りの街並みに温かい灯りが点々と灯ります。「冬のダブリンが一番美しい」と言う人がいるのは、たぶんこの瞬間のことです。
Type Gプラグと通信(eSIM)
忘れがちですが、重要なポイントです。アイルランドの電源プラグはUK仕様のType G(3ピン角型)で、EUプラグ(CタイプやFタイプ)とは互換性がありません。
EU周遊の延長でアイルランドに来る旅行者が、「EUプラグ変換アダプタは持ってきたからOK」と思って、チェックインしてからコンセントに挿さらず絶望するパターンを、私は何度も目撃しました。アイルランドとイギリスはType G、フランス・ドイツ・イタリア等はType C/Fです。日本から直接ダブリンに来る場合も、Type G対応の変換アダプタを必ず持参してください。100円ショップでも売っています。
通信は、eSIM推奨です。Three IrelandとVodafone Irelandが安定していて、日本出国前にHoliday eSIMやAiraloなどで購入できます。現地SIMショップで手続きするより早くて確実です。
アイルランド英語の壁は「気にしない」が正解
最後に、アイルランド英語の話。これは多くの旅行者が不安に思うポイントですが、結論から言うと「気にしない、で大丈夫です」。
確かにアイルランド英語は巻き舌と早口で、英語学習者でも聞き取りにくいです。パブで「What can I get ya?」と早口で言われて、私は最初の数回「え、なんて?」となりました。チェックインカウンターでも、「You’re in room two-oh-four, the breakfast is served from seven」を半分しか聞き取れませんでした。
でも、アイルランド人は本当にフレンドリーで、「わからない」と言えば何度でも言い直してくれます。スマホ翻訳を見せても、笑顔で対応してくれます。失礼にはなりません。Irish are friendly――これは旅行者にとっての救いです。
事前に知っておくべきなのは、前述のパブのカウンター注文+その場払い+ラウンド制の3点だけ。この3つさえ押さえれば、英語の細かい聞き取りは「聞き返せばいい」で解決します。気張らず、笑顔で「Sorry, could you say that again?」と言えば、それで十分です。
よくある質問Q&A
- 何泊なら何泊目までダブリン、何泊目から郊外に移動すべきですか?
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2〜3泊の短期滞在なら、すべての夜をD2南側(セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエア)に泊めるのが最適解です。4泊以上の滞在なら、1〜2泊をD4ボールズブリッジやD7スミスフィールドに分散する選択肢もアリです。ただし、毎日ホテルを変えると荷物移動のストレスが発生するので、同じホテルで連泊するほうが結果的に楽です。
- 朝食付きと朝食なし、どちらを選ぶべきですか?
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初訪問なら、少なくとも1日は朝食付きプランにして、アイリッシュ・ブレックファスト(ソーセージ、ベーコン、ブラックプディング、ホワイトプディング、卵、焼きトマト、ベイクドビーンズ、トースト)を体験してください。これがダブリンの文化です。ただし毎日アイリッシュ・ブレックファストだと胃もたれします。長期滞在なら、2日目以降は近所のカフェでフラットホワイトとスコーンという朝食スタイルもおすすめです。
- チェックイン前・チェックアウト後の荷物はどうすればいいですか?
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ホテルの荷物預かりが基本です。ほとんどのホテルで無料で預かってくれます。ホテル以外の選択肢としては、コノリー駅・ヒューストン駅の有料ロッカー、または市内のLuggageHero等の有料荷物預かりサービスがあります。深夜便の出発で最終日の日中に観光したい場合、ホテル預かりが最も便利です。
- テンプルバー以外におすすめの「夜のパブ」はどこですか?
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観光地を離れた地元パブなら、グラフトン・ストリート裏のダブリン最古とされる老舗パブ、カムデン・ストリート沿いの地元パブ、South Great George’s Street周辺のパブなどがおすすめです。この界隈ならギネス1パイント€5.80〜6.50で飲めて、客層も地元民が中心。バーテンダーとの会話も楽しめます。テンプルバーのパブを1軒だけ「雰囲気体験」として楽しんだら、2軒目以降はこちらに流れるのが私の鉄板ルートです。
- 夏のハイシーズンと冬のオフシーズン、どちらが狙い目ですか?
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予算と天候のトレードオフです。夏(6〜8月)は日照時間が長く(21時頃まで明るい)、観光には最適ですが、宿泊費が冬の3〜4倍に跳ね上がります。冬(11〜3月)は日没が16時前後と早く、観光時間は短くなりますが、宿泊費が落ち着き、クリスマスイルミネーションやホットウィスキー、暖炉のあるパブなど冬ならではの魅力があります。個人的には、5月末〜6月初旬と9月後半がコストと天候のバランスが最も良いシーズンだと思います。
まとめ:ダブリンのホテル選び、後悔しない4つの鉄則
長くなりましたが、ここまで読んでくれてありがとうございます。最後に、私が痛い目を見まくって学んだ「ダブリンのホテル選び、後悔しない4つの鉄則」を、もう一度整理してお伝えします。
鉄則①:リフィー川南岸D2を基本形に置く
初訪問なら、セント・スティーブンス・グリーン〜メリオン・スクエア周辺を最優先。観光・治安・交通の三角形がここで完結します。副次的な選択肢として、静けさ重視ならD4ボールズブリッジ、コスパ+ヒップな雰囲気ならD7スミスフィールド、長期&地元感ならD6ランラー/ポートベロ。テンプルバーど真ん中は「昼に訪れる場所」と割り切りましょう。
鉄則②:Luas緑線/DART/主要バス停から徒歩5分以内
地下鉄なき首都では、「駅近」が睡眠と観光効率を決めます。Luas緑線の終電時刻(23:30前後)を頭に入れておき、深夜帰宅になる予定があるならタクシーアプリ(FreeNow/Bolt)を事前インストール。雨の日のバス停徒歩10分は、風で傘が折れると全身ずぶ濡れになるので、「駅徒歩5分以内」は睡眠の質と健康の話でもあります。
鉄則③:到着初日にLeap Visitor Cardを空港で買う
空港到着→Aircoach(€6〜、25〜35分)→市内停留所→コンビニでLeap Visitor Card 3日券€19.50購入。この3手順を頭に入れておくだけで、到着初日の迷子感は消えます。Dublin Busは現金札不可・おつりなし、ATMはホテルロビー内か銀行店内のみ使用。この2つの鉄則も、到着初日に必ず頭に入れておいてください。
鉄則④:予約前にエアコン・エレベーター・防音を口コミで確認
予約前のチェックリストは、「air conditioning」「lift」「noise」「water pressure」の4語を口コミで検索するだけ。これで設備系の後悔の9割が消えます。テンプルバーに泊まる場合は、さらに「金土回避・2ブロック離す・上層階・通り裏側・防音二重窓」の5条件を追加。この条件を全部満たせないなら、2ブロック南のグラフトン・ストリート界隈かセント・スティーブンス・グリーン寄りに泊まるのが正解です。
筆者からの最後のメッセージ
私がこの記事で一番伝えたかったのは、「ホテル選びは、泊まる前の30分で決まる」ということです。予約ボタンを押す前の30分で、Googleマップにホテル住所をピン留めして、リフィー川のどちら側かを確認して、Luas駅からの徒歩経路を見て、口コミで「air conditioning」「lift」「noise」を検索する――この30分が、4泊の旅行の満足度を決めます。
私のテンプルバー金曜深夜事件、€65格安宿Sheriff Street事件、ATM「Need help?」事件、8月Tシャツ15℃事件、ギネス€11事件、ジョージアン螺旋階段事件、ラウンド制事件――これらは全部、事前の30分の調査をサボった結果です。私の失敗を、踏み台にしてください。あなたのダブリン旅行が、よく眠れた朝と、安心して歩ける夜と、正しい価格のギネスと、朝食のアイリッシュ・ブレックファストで満たされることを、心から願っています。
大丈夫です。ダブリンは複雑に見えて、今日お伝えした4つの鉄則で攻略できます。あなたが帰国したとき、友人に「ダブリン楽しかった、エリア選びが正解だった」と語れる状態になっていることを、私は信じています。



ダブリンでは、”テンプルバーの雰囲気”に引っ張られるか、”セント・スティーブンス・グリーンの実用性”を選ぶかが最大の分岐点です。テンプルバーど真ん中は避けて2ブロック離す、リフィー川南側を選ぶ、Leap Visitor Cardを空港で買う、エアコンとエレベーターの有無を確認する。この4つさえ押さえれば、ダブリンのホテル選びで後悔することはまずありません。私の失敗を踏み台にして、あなたは最初から正解のホテルを選んでください。


